今、世の中では“下町ロケット”というドラマが好評のようだ。

稀代の小説家、池井戸潤が直木賞を受賞した作品ということで放送前から話題だったが、
個性豊かな俳優陣の名演技も光って、見るたびに世界観に引き込まれてしまう。

かくいう私もしっかりと予約録画をして楽しんでいる視聴者の一人だ。

 

そして、このドラマのスタートと時を同じくして「ストックビジネスの教科書」
という本が出版された。
10月20日に発売されるや否や瞬く間にAMAZONでは品切れ状態になり、
週間ベストセラーランキング(経済・ビジネス)でも3週連続でTOP10入りに
なった。3週目でも3位。
今、注目のビジネス書である。

著者は大竹啓裕氏で、このストックビジネスのメソッドを使って、
今期売上10億円を見込む不動産会社の社長である。

 

実はこの本には個人的な思い入れがある。
それは、私がこの“ストックビジネス”を大竹啓裕氏のもとで、5年に渡り実践し学んだ
1人だからだ。
この本が出版された時、正直、「このメソッドを出してしまって良いのかな?」と感じた。
それほど、このストックビジネスという仕組みは凄まじい。
常々、大竹氏に言われていたことがある。

「その仕事をどう仕組み化するか考えるんだ。他の人がやっても同じように出来る、
そういう仕組みを作らなければ事業も君自身にも発展はない。一生同じ事の繰り返しだよ」

 

これは本にも書かれている、仕事をどれだけこなしても苦しみ続ける “自家ブラック化”を
解決する根本にある考え方でもある。

 

最も、私がその凄まじさを体感したのが、レンタルオフィスというストックビジネス事業の
立ち上げに参画を抜擢された時だった。

全くの事業未経験で最初は上手くいくのか不安で仕方がなかったが、1件、2件と利用者の
増加に伴い収益がストックされていく。
1ヶ月、半年、1年と事業を継続するごとに、先々の売上がほぼ正確に予測できるようになった。

それと並行して既存サービスにテコ入れをしたり、新しいサービスの準備を始める為、
売上は当然のごとく右肩上がりになる。
毎月“0”からスタートのフロービジネスとは正反対の性質のものだ。
コツコツと積み上げていく私の性格にはぴったりだと思った。

 

この本の内容や書評は、プロの方や個人ブロガーの方が書かれているので
興味がある方は検索してもらえばよい。
私は、自身の体験や冒頭の下町ロケットのネタを引き合いに、
また違った視点からご紹介してみたいと思う。

 

さて、下町ロケットをご覧の皆様は、ドラマのキーポイントにもなっている
“バルブシステム”を御存じの事と思う。
これは宇宙ロケットを飛ばすための一番重要なパーツで、至極簡単にいうと、
このシステムに欠陥があるとロケットは飛ばない。
逆に優秀であればあるほど、遠くに飛ばせるというものだ。

 

これは非常にストックビジネスの考え方と似ている、と私は感じた。
例えば、アナログな蒸気機関車の仕組みでロケットを作ったとしたらどうだろうか。
人手がいるし、釜に炭を入れる人間の力が尽きたらそこで終了となる。
これは“ストック”とは逆のいわゆる“フロー”に当たる。

ところが、優秀なシステムを開発すれば人手はそれほどかからずにより遠くへ行けるようになる。
つまりこれがストック的であり、より安定的な稼働が可能となるということだ。

 

ビジネスの場合、この収益モデルを2段、3段と作っていくか、もしくはチューニングにより
1つの仕組みをより優秀なものにすれば、継続率の高い事業を行う事が出来るというだろう。
「収益モデルの2段・3段構えとはますますロケットに似ているなあ。」
とは、こじつけのような気もしなくはないが、こういう一致を見つけるのは意外と嬉しいものだ。

 

さて、一言にビジネスモデルを作るといっても、“0”から作るのには
大変な労力と知識や経験を要するものである。
そこで、この本には17の事業モデルと8つの課金システムというロールモデルに加えて、
フローをストック化させるヒントも事例付きで紹介されている。

さらに、ストックビジネスの核となる “収益ユニット”の作り方や、
既存ビジネスをストック化させるための“リノベーションシート”といった
フレームワークも載っているので、ぜひ試していただければと思う。
というように書くと、本の宣伝をしているようだが(笑)、
フレームワークとは著者のエッセンスが凝縮されたものでもあり、
またこういった類のものは活用してみて自身に合うかどうか、検証してみなければわからないものだ。

ここでも大竹氏のある言葉が頭をよぎる。

「アイディアを思いつくのは誰でも出来る。
さらにその中の少数の人間が実行し形にすることが出来る。
最近はフレームワークも揃っているから当てはめていけば何かしらの形にはなる。
だが、一番難しいのは、実行の中からチューニングを重ねてそのビジネスモデルを継続させることだ。
大体の人はあともう少しの所までやれるのに、辞めてしまう。楽な方に逃げてしまい、結局断念してしまう。
ここが一番難しく、実行出来るのは一握りの人間だけだ」

 

実行し、その結果からチューニングして、微修正を加えていって
試作品を完成品に近づけていくことが必要だ。
本にも書かれている通り、“チューニングが9割”という言葉が全てを物語っている通り、
一番重要なステップだと思う。

 

実際に私も5年の間に事業の最前線にいて、嫌という程この、
チューニングの重要さと難しさを体験してきた。
常にアンテナを張り、お客様からの使いにくいというクレームや、
こうなったらいいなという要望をヒアリングし改善策を講じる。
また、業務効率を上げるためにはどうするか、生産性を上げるにはどうするかを絶え間なく継続しなければならない。
自社サービスの中で不調なものはどうするのか?
その対策を考えている間にも競合他社や新しいサービスはどんどん増えて行く。

 

そして、このチューニングには、ビジネスモデル自体の修正以外にも、時にはチーム体制の修正、
会社組織の仕組み改善なども含まれることが往々にしてある。と私は思う。

 

かの松下幸之助曰く、
「どんなに完備した組織を作り、新しい手法を導入しても、
それを活かす人を得なければ成果も上がらず、企業の使命も果たせない。
企業が社会に貢献しつつ、自らも隆々と発展していけるかどうかは、一にかかって人にある。」

 

特に日本人は真面目で繊細でこだわりがある、モノづくり技術では世界でも評価がが高い。
改善、改善でチューニングをしていきよりよりモノを作るということは元来日本人にはピッタリの思考だと思う。
最後に、大竹氏の言葉の中で一番好きな言葉を紹介して最後を締めくくりたいと思う。

「ストックビジネスという仕組み。実はこれは人間自体がそう出来ているんだ。
知識や経験はやればやるほど、どんどん自分の中にストックされていく。
それを日々更新し続けなければならない。安定をしてはいけない。常にチャレンジをする姿勢が必要なんだ」