シニア起業

皆さんは”起業”というと大体何歳くらいを思い浮かべるだろうか。
昨今のIT技術の発達により20代、いや10代の起業という話も良く聞く。

国内では、
リブセンスの村上太一氏が史上最年少で東証1部上場したというのはあまりにも有名だし、
ソフトバンクの孫正義氏も22歳の時にアメリカで起業している。
歴史を辿れば、かの有名な松下幸之助氏も22歳の時に起業している。

海外に目を向ければ、
FACEBOOKを創業したザッカーバーグや、
YOUTUBEを創業したチャド・ハーリー等が上げられ、
やはり”起業”といえば”若者”というイメージが強い。

だが、本日ご紹介するのは”シニア起業”
つまり、60代以上の起業である。
最近ニュースでもシニア起業を多く取り上げるようになったが、
実はこれは今に始まったことではない。

中小企業庁が発行している『中小企業白書2014年版』に。
そこに『起業希望者および起業家の年齢別構成の推移』という資料がある。中小企業白書2014

 

29歳以下、30歳代、40歳代、50歳代、60歳以上 とカテゴリーが5つに分かれているのだが、
実は、2007年を境に30歳代の起業家割合を抜いて60歳以上の起業がNO.1になっている。
直近の2012年の調査時には60歳以上の起業家割合は、なんと32.4%である。
次いで、
30代が23.9%
40代が17.4%、
50代が14.3%
29歳以下はわずか11.9%しかない。
実は20代以下が一番低いのである。

中小企業白書(2014年版)」(中小企業庁)
http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H26/PDF/07Hakusyo_part3_chap2_web.pdf)を加工して作成

【注目のシニア企業家をご紹介】

今朝方たまたまTVをつけた時に放映されていた番組で、
ちょうどシニア起業家の紹介をしていた。
その中でも”これは面白い”と感じた3社を紹介したい。

①株式会社アクアテック

 チューブポンプメーカー
 ※洗車マシンポンプやカップ式自動販売機の飲料用ポンプの開発&製造を行っている。

<代表>
 玉川長雄氏 御歳89歳(起業時70歳)

<経歴>
 松下電器を退職後の10年間、胃カメラ洗浄器メーカーの技術顧問として商品開発に携わる。

<起業の経緯>
 従来の洗浄器はサイズが大きく1台6万円と高価だった。
 そこで、「世の中に良い洗浄器が無いなら作ろう」と思い立ち、1997年に会社設立。
 斬新なアイディアで新しい仕組みを開発し特許も国内外で取得済み。
 新しい仕組みの解説はコチラ→http://www.ringpump-aquatech.co.jp/ring_pump/about.html
<補足>
 あの松下幸之助氏とも一緒に仕事をしたことがあるそう。
 企業HPを見てみると、7月1日に事務所も拡大移転。なんと現在の3倍だそうである。
 国内外の展示会にも積極的に出展し、ジェトロのHPに企業紹介ページもある。
 海外展開も視野に入れ順調に拡大しているという素晴らしい企業である。
   
《企業HP》
http://www.ringpump-aquatech.co.jp/

 

②和田京子不動産株式会社

 売買専門の不動産会社 

<代表>
 和田京子氏 御歳85歳(起業時80歳)

<経歴>
 元々は専業主婦。80歳に宅地建物取引主任者資格を取得し独立。

<起業の経緯>
 夫が会社員時代に異動が多く、引越しのたびに住宅を買い替えていた。
 その際に欠陥住宅を買わされたという積年の恨みが動機で不動産会社を設立。
 自分と同じ失敗をさせない。良い仕事をしたいという熱い想いがある。
 お客様からの仲介手数料を無料にして売主からの手数料で事業を行っている。

<補足>
 80歳で起業するバイタリティは凄まじいが、それにも増してその働く姿勢が巣晴らしい。
 『お客様をご案内する前に必ず自分の目で隅々まで確認して良い面も悪い面も全てお伝えする。』
 『お客様が女性であれば、夜間に駅までの道順のご案内をして周辺環境もご説明する。』
『24時間営業で、深夜寝ている時にかかって来た電話も全て取る』
さすがに、深夜くらいはメール問い合わせにしてもよいような気がするが、、、徹底ぶりは半端ない。

《企業HP》
http://www.wadakyoko.co.jp/

③株式会社シニア財務経理

 経理財務に特化したシニアの人材紹介 

<代表>
 富澤 一利氏 御歳66歳(起業時65歳)

<経歴>
 三菱東京UFJ銀行にて36年。その後ホテル運営会社に5年。
 その後、マンションデベロッパーで5年。
 財務・経理畑一筋のプロ中のプロである。

<起業の経緯>
 会社を定年退職したシニア層の総務経理のプロと、低コストで優秀な人材を確保したい中小企業
 の双方のニーズをマッチングさせる仕事をしたいという想いから。

<補足>
 TVでは実際にこのマッチングサービスを活用した企業を紹介していました。
 経費の仕訳作業が、これまでは8時間かかっていたものが5時間で終わるようになったとのこと。
 その道のプロなので、一瞬でどの勘定科目に振り分ければよいかが判断出来るというわけです。
 また、シニア層でもPCを卓越に操作出来る方は多いですからテキパキ作業していましたよ。
《企業HP》
http://senior-keiri.jp/

 

【起業の経緯に注目!】

この3社のいづれにも共通するのが、『現行の問題や課題に対しての解決策の実行』である。

つまり、
①アジアテック社の場合は、良い胃カメラ洗浄器が無いから自分で作ることを選択し、
②和田京子不動産社の場合は、不動産売買で失敗した経験から自分が良い不動産屋になることを選択し、
③シニア財務経理社の場合は、低コストで人材確保出来ない中小企業がいたことと、
 元気で働く意欲のあるシニアがいたことから双方をマッチングすることを選択した。
ということだ。

これが、知識経験人脈技術に秀でているシニア起業家の強みだ。
自ら解決出来る術を持ち合わせているのである。
前出のアクアテック社の玉川社長が話されていたが、
「うちの社員は皆がプロフェッショナルの集まりだから、
あれやこれや言わなくても勝手に一人で進めて解決するんだよね。
そこがうちの強みかな」
時折垣間見える人柄からも、定年後に社長を慕って入社するというのもうなずける。
さすがは『”人”の松下ここにあり。』である。

実際に私自身もインスクエアというインキュベーション施設の営業担当をやっていたから、
身にしみて実感しているのだが、
本当にシニアの起業家は元気で、情熱的で、その道のプロフェッショナルな方が多い。
審査時点でしっかりと起業計画書を作成していただいて、内容をしっかり説明してもらうのだが、
これがまた非の打ち所のない計画書で、”リスクを低くする起業”をしっかりと心得ているのである。

「私達は若者から刺激を受けているんだよ。だから、こういう若い人が集まる施設で
 起業するということはそういった面でもメリットがあるんだよね」
とは、あるシニア起業家の言葉であるが、いやいやとんでもない。
若者の方が刺激を受けるくらいである。
事実、私もそんな皆さんと接している中で非常に刺激を受けた一人でもある。
やはり起業するには、これだけのバイタリティと専門性、何より熱意が必要なのだ。
まさに、シニア起業に『起業の真髄』を見たのである。

【あとがき】

ブログを書くにあたり毎回努めていることがある。
それは、『より良い情報を、自分というフィルターを通して熱意を加えてお届けする』ということである。
その為にはしっかり調査し、読み解き、分かりやすい言葉でお伝えする必要がある。
たった1人でも良い。
この記事を読んで心が動いて『よし明日も頑張ろう!』と思える方がいればそれで幸せなのである。

最後に、松下幸之助氏の名言をもって締めくくりたい。

「とにかく、考えてみることである
 工夫してみることである
 そして、やってみることである。
 失敗すればやり直せばいい。」

さあ、また明日から頑張ろうっと!